神仙桃娘 ASUKA 2025年3月号 表紙・背表紙イラスト
ASUKA 2025年3月号 表紙イラスト

このたび、初めてASUKAの表紙を描かせていただきました。
表紙を飾らせていただくのは他誌での初連載開始時以来です(※しかも当時は予告カットを納品したら出来がいいからそれをそのまま雑誌の表紙にしちゃおうと繰り上げるような流れで決まったので、正式にお話をいただくのは今回が初)
雑誌の発売時期が1月末だったので、2月のバレンタインをイメージして描きました。日本では女性から男性へチョコを贈りますが、世界的には男性から女性へ花束を贈るのが一般的。今回のイラストには欲張りにチョコと花の両方を描いています。
『神仙桃娘 宮廷の贄』は色っぽい作品なので、ふたりのポージングも少しセクシーに。本屋さんにたくさん並ぶ雑誌の中で目立って欲しい・アクセントになって欲しいという想いから、脚をグッと上げた変化球の体勢で三角形シルエットのバランスをとっています。担当さんからは扎熱の胸とお尻の両方をアピールできるセクシーポーズで良いと褒めていただきました。上地的にはタイトスカートのスリットのギリギリ感も狙っています。
チョコとセクシー、バレンタインの欲張りセットでございます。
ところで改めて見直すと、これは…扎熱は花束を受け取っていながらまだ自分からのチョコは渡していない…という状況のようですね。渡すタイミングがわからないのでしょうか。モタモタしているうちに子晶に花束を渡され、あれよあれよという間にこのような体勢になってしまったのでしょうか。謎です。

初期ラフは3パターンありました。
- バレンタインのデート風。インパクトあるセクシー体勢のふたり。
- シノワズリ陶器のイメージ。ファッションはバレエコアを想定。
- 現代の街におでかけ風。電車に揺られるふたり(ツアー旅行の広告みたい)
たぶん1が選ばれるだろうな~と予想していたら、やはりそうなりました。ただし中華要素が足りないとのことだったので、随所にチャイナリボンやチャイナ柄を増やしてブラッシュアップ。
なおラフの全身図のところにメモ書きしてありますが扎熱の身長は約175cm、子晶は約159cmで、ふたりの身長差は約16cm。この服装ではハイヒールを履いているのでもっと身長差があります。もっとも表紙イラストでは扎熱は転がされているので身長差なんて関係ないんですけれども。

作画過程の記録を取ってありました。ブログのネタにしようと思ってちゃんと時間やメモを書き入れてある。えらいね。
合計すると下描きから完成まで実働54時間ほどかかったみたいです。背景が無いのに何故こんなに時間がかかるんだよと我ながら疑問に思いますが、メモによるとデッサン迷子になっていたせいみたいです。デッサン力、上げたい……。それと配色作業のときに線画のおかしいところをちまちま直していくので、そういう地道なところで時間がかかっているのだと思います。私は線画が結構荒いので、後から変なところがぽろぽろ出てくる……。そもそも扎熱の顔のバランスに何か違和感があってそれを解消するために延々と直し地獄にはまっていたなあ。これが致命的だったのかも。
完成間近の段階で編集部にチェックしていただいたら「扎熱の顔が幼くデフォルメ感が強いように見えるかも」「RGB感(デジタルっぽい色味)が強すぎるかも」などのご意見いただいたので、調整して落ち着いた雰囲気にしました。私の作品に求められているのは落ち着いたシックな方向性なんだなあとわかって良かった(この影響により年賀イラストでも瞳の塗り方を調整しました)
縫い目や刺繍もちまちま描きました。縫い目を描くのは元々好きですが、刺繍もなかなか面白いものですね。時間があればもっとちゃんと細かく描いてみたかったな。服を描く場合、縫い目や刺繍糸を細かく描いてあるかどうかでクオリティに差が出る気がします。
生地それぞれの質感まで表現できれば更に良いのですが、残念ながら私にはまだその技量がないので、今回はタイツだけ頑張りました。チョコレート色のタイツ。光が当たって少し色が飛ぶ感じとか、いい感じに描けたかな~と思います。
拡大すると荒いところもありますが、実際に使用されるサイズで見たときに違和感がなければそれでよいので割り切ってさくさく進めました。このあとに背表紙イラストと漫画本編56ページを描く予定が控えていましたし。
カラーイラストを描くたび思うのですが、『神風怪盗ジャンヌ』等で有名な種村有菜先生はかつてほぼ毎月りぼんの表紙イラスト、同時に本編で超絶クオリティのカラー扉イラスト、付録用の描きおろしイラスト等、とんでもない仕事量をこなしていらっしゃいました。クオリティと筆の速さにただただ圧倒され感服する他はありません。私もあれだけ描けるようになりたいなあ。
ASUKA2025年3月号 背表紙イラスト

チェキを撮るアイドルみたい。可愛くてとてもお気に入りです。
背表紙イラストは表紙と同じ衣装でもよいとのことでしたが、絶対に新規衣装の方が描く側も見る側も楽しいじゃないですか~! ってことで違う衣装を着せてあげました!
扎熱の魅力のひとつである豊かな胸を見せつつも、シアーインナーで直接的な露出は抑えています(シアー素材は流行しているので取り入れたかった!) それでも想定よりはセクシーな印象に仕上がりましたが、元々がグラマーですから必然と言えば必然。お洒落にコーディネートしたので変ないやらしさは出ていないはず…です! 担当さんからは胸の重量感がいいですねと褒められました。へへへ。そうでしょう。
ポージングは『美少女戦士セーラームーン』と明治のチョコのコラボに影響を受けました。各セーラー戦士による多種多様な指ハートポーズがとても可愛かったので!
でも扎熱ってカメラを向けられても自主的にピースとかハートとかしなさそう。お行儀よく両手を揃えて直立しているタイプだと思う。この指ハートも果たして意味わかってやっているのかどうか???

初期ラフはY2K(2000年代ファッション)のイメージ。中華要素はブローチやブレスレットなどの小物で入れていますが、今見るとさりげなさ過ぎましたね。
第2案では中華要素をぐっと増やし、衣装をチャイナ服ベースに。上地が初期ラフで気に入っていた立体のフラワー付き黒ベロアビスチェは、ベレー帽へと形を変えて残しました。全体的にピンク基調のキュート系でありつつも、黒の締め色でシックな大人っぽさも出しています。アイドルグループにおけるおっとりしたお姉さんポジションの子のような雰囲気。こちらでOKをいただいたので、そのまま仕上げました。
サブ案として『ストリートファイター』の春麗みたいなチャイナおだんごバージョンも出しましたが、衣装や色合い的にキュート系に偏り過ぎてしまうので、第2案に決まって上地的にはホッとしました。やはり扎熱は「年上の色っぽい美女」なので、キュート系に寄りすぎると伝えたいイメージからずれてしまう。でも機会あらば、年上のお姉さん感を保ったバランスでチャイナおだんご姿の扎熱も描いてみたいな~。
ちなみに今回、ポワンティエ技法を意識して使っています。フェルメールがよくやっている、白のハイライト点をちょこんと配置して光を表現するあれです。実際には光の当たらないところでも、立体感や存在感を出すために入れたりします。やり過ぎると散漫な印象になりそうなので、最低限に入れました。デジタル画法でも普通にやるといえばやるのですが、私の絵柄ってもしかしてアナログの古典的な画法に立ち戻ってクオリティを上げていった方がマッチするのかなと思えてきたので、ちょっと試しに意識してみた次第です。
背表紙イラストの線画には、クリスタ初期ツールの色鉛筆を使用しました。はじめて使いましたが透け感があってふんわり仕上がるところが気に入りました。ぼかす手間要らず。また使いたい。
表紙イラストの方も初期ツール鉛筆系のどれかを使った記憶があるのですが、具体的にどれだったかは忘れちゃいました。自分にとってベストな描き方を探し中なので、こういうことも今後は記録・比較していきたいですね。
描いた順のせいか表紙イラストより背表紙イラストの方がこなれ感が出てしまった気がしないでもないですが、描かせていただけて本当に嬉しかったし楽しかったです! また是非描かせてください!